声の病気と向き合うために
SDCP発声障害患者会では、声を出すことに苦しんでいるすべての患者が改善に向かうことを願っています。
それには、発声障害のことを広く正しく知り、自分に合ったアプローチを見つけることがとても大切だと考えています。
同時に、最近ではインターネットを中心に様々な情報が飛び交っており、どのように治療に取り組めばいいか迷う声も多く寄せられるようになりました。
そこで、皆さまが今後の治療などの参考にしてくださり、声の病気と向き合い、克服するための助けとなることを願って、当会の考えをここにまとめました。
声の病気は十人十色
まず、手術や注射といった外科的治療は、一度の治療で多くの患者が改善を実感しており、劇的に改善するケースもあり、「痙攣性発声障害には有効である」と当会は考えています。
しかし、「声が詰まる、震える=痙攣性発声障害」とは限りません。
「発声障害」とひと言で言っても、その原因はいろいろです。
いくつかの原因が複雑に絡み合い、複数の発声障害を併発しているケースも少なくありません。
ですから、改善のためのアプローチにもいろいろな選択肢があります。
(いろいろな発声障害についてはこちら>>)
たとえば、痙攣性発声障害の患者が、無理な発声を繰り返すことで間違った発声のクセによる機能性発声障害を併発し、さらに、大事な場面で上手く話せなかった体験がトラウマとなり、同じ場面になると力んでしまうことから過緊張性発声障害を、「また失敗するのではないか」という不安から心因性発声障害を併発するという場合があります。
また、患者の多くは、思うように発声できないことから、喉頭周りや、首、肩、顎などの筋肉が非常に硬くなっており、そのことがさらに声を出しにくくしている場合もあります。
このような場合、痙攣性発声障害に有効とされている手術や注射といった外科的治療だけでは効果が実感できない、あるいは不十分という結果になることがあります。
その場合は、音声訓練やメンタル面の治療など、別のアプローチが必要になってきます。
手術後に注射や音声訓練などの追加治療を行うことで、発声のクセなどにより残ってしまった症状の回復につながるケースもあります。
また、整体や気孔、鍼灸、マッサージ、呼吸法など、体全体のバランスを取ったり、筋肉の緊張をやわらげるアプローチなどにより改善している患者もいます。
見つけよう、自分に合ったアプローチ
発声障害には、「これをすれば誰でもすっかり治ります」という治療法は、現時点ではないというのが現実です。
けれども、様々なアプローチを試し、少しずつ改善している患者もいます。
手術後5年経って、症状が出なくなった患者もいます。
完治とは言えないものの、改善に満足している患者もいます。
当会では、これからも発声障害治療の現状をお伝えし、改善のための様々なアプローチの情報を共有できる場を設けていきたいと考えています。
mixiのコミュニティ「痙攣性発声障害・・・ですが何か?」では854名(2016年10月末現在)のメンバーが様々な情報交換をしています。
また、年に1回の総会(集会)のほか、各地で交流会も開催しており、声に悩む患者同士が直接会って語り合える機会も設けております。
明確な原因や治療法の特定が難しく、一朝一夕にはいかない病気だからこそ、「患者会」という場をぜひ活用して、お一人おひとりが自分に合ったアプローチに出会い、声の悩みから解放されることを心から願ってやみません。