治験参加者が必要数に達しました

2014年6月より開始した痙攣性発声障害(SD)へのボトックス注射の治験は、皆様のご協力により必要な参加者数に達し、参加者募集を終了いたしました。心より感謝申し上げます。

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痙攣性発声障害(SD)には、声帯の筋肉にボトックスを注射することで声の詰まりや途切れ、震えを軽減させる治療が有効とされています。効果は平均約3ヶ月で定期的な接種を必要とします。

しかしこの注射は保険適用外で、また首都圏を中心に国内の数施設で行われているのみのため、患者の時間的経済的負担は非常に大きくなっています。

当会では保険適用を求めて、2010年には厚生労働省に33,108名分の署名を提出、その後も各所に陳情して参りました。

そしてこの度ついに、高知大学教授・兵頭政光医師らのご尽力により、
痙攣性発声障害に対するボトックス治療の治験が開始されました。

この治験が成功し、保険適用となることにより、全国どこででも、保険診療でボトックス治療が受けられるようになることを目指しています。

兵頭医師より皆様へ
〜治験実現のためご尽力くださった高知大学教授の兵頭政光先生よりメッセージ〜

私は耳鼻咽喉科医ですが、喉を専門としていて、痙攣性発声障害についても十数年前より診療を行っています。現在は痙攣性発声障害の患者数や症状などに関する全国調査を行うとともに、A型ボツリヌス毒素ボトックスを声帯に注射することで音声障害を治療するための治験にも取り組んでいます。

ご存知のように痙攣性発声障害は医療関係者の中でも認知度が低く、また、標準的な治療が確立されていないなどの問題があり、私たちもできるだけ早く診断基準や治療法を確立して皆様方のお役に立ちたいと思っています。

今回の治験の目的は、痙攣性発声障害に対するボトックスの有効性と安全性を検討すること、そしてその結果をもとにボトックス治療が保険診療で行えるよう国に対して薬事承認取得を申請することです。

また、痙攣性発声障害へのボトックス治療が公に認められている国は先進国ではオーストラリアのみで、その他南米のいくつかの国があるだけです。アメリカでも保険では認められておらず、ボトックス治療の有効性に関するデータはあまりありません。ですから今回の治験の結果を日本から世界に向けて発信するという意味合いもあります。

今回の治験は、高知大学が中心となって行いますが、治験の為の費用は国の科学研究費をもとにして日本医師会治験促進センターというところから出ます。すなわち、この治験は厚生労働省が認めた治験ということになります。

痙攣性発声障害は私のライフワークの一つともなっています。治験には非常に多くの方々が関わってくださっており、私としてもぜひ成功させたいと思っています。

兵頭 政光(高知大学医学部耳鼻咽喉科 教授)プロフィール

昭和33年12月2日生まれ、愛媛県出身
昭和58年、愛媛大学医学部卒業後、附属病院耳鼻咽喉科勤務
平成7年、スウェーデンのカロリンスカ研究所に留学
愛媛大学助教授を経て平成20年より高知大学医学部耳鼻咽喉科教授

専門は音声障害や嚥下障害及び頭頸部ガンの治療

主な所属学会
日本耳鼻咽喉科学会(代議員)
日本気管食道科学会(理事・評議員)
日本音声言語医学会(理事・評議員)
日本嚥下医学会(副理事長・理事・評議員)
日本喉頭部科学会(理事・評議員)
日本頭頸部外科学会(理事・評議員)
日本口腔・咽頭科学会(評議員)
日本小児耳鼻咽喉科学会(評議員) など