SDへのボトックス注射治験が全国8病院で開始

2014年6月より開始した痙攣性発声障害(SD)へのボトックス注射の治験は、皆様のご協力により必要な参加者数に達し、参加者募集を終了いたしました。心より感謝申し上げます。


 

けいれん性発声障害(SD)には、声帯の筋肉にボトックスを注射することで、声の詰まりや途切れ、震えを軽減させる治療が有効とされています。効果は平均約3ヶ月で定期的な接種を必要とします。

しかしこの注射は保険適用外で、また首都圏を中心に国内の数施設で行われているのみのため、患者の時間的経済的負担は非常に大きくなっています。当会では保険適用を求めて、2010年には厚生労働省に33,108名分の署名を提出、その後も各所に陳情して参りました。

そしてこの度ついに、高知大学教授・兵頭政光医師らのご尽力により、
けいれん性発声障害に対するボトックス治療の治験が開始されることとなりました。

現在、治験にご参加くださる方(内転型30名以上、外転型3名以上)を必要としています。全国どこででも、保険診療でボトックス治療が受けられるようになるため、ご協力を心よりお願い申し上げます。
なお、参加にはいくつか条件がありますので必ず下記詳細をご覧ください。

実施病院
実施期間
参加の主な条件
治験参加から終了までの流れ
費用について
兵頭医師より皆様へ
お問合せ先
兵頭医師プロフィール


■実施病院の所在地

◆北海道 ◆福島県 ◆神奈川県 ◆愛知県 ◆兵庫県 ◆山口県 ◆高知県 ◆熊本県

いずれの病院も痙攣性発声障害に詳しい先生がいらして、治療を行う先生は全員注射のトレーニングを受けています。

病院名は高知大学病院
または当会sdcp2010@gmail.comにお問合せください。


■実施期間

治験の実施期間は2014年6月30日〜2015年11月30日ですが
後述の通り48週間に渡り経過を見ることとなりますので、今年中にご参加いただくことが必要です。

 

■参加の主な条件

・過去6カ月以内にボトックス治療を受けていないこと
・けいれん性発声障害に対する手術を受けていないこと
・過去2カ月以内に音声治療を受けていないこと
・抗けいれん薬、精神安定剤、筋緊張緩和薬などを内服していないこと
・治験期間中は避妊していただけること
・治験開始後約1年間は定期的に通院していただけること

 

■治験参加から終了までの流れ

治験実施8病院の中から参加を希望される病院に電話をし耳鼻咽喉科につないでいただき、「けいれん性発声障害に対するボトックスの治験に参加したい」ことを伝え、受診日を決めます。現在治療中の病院がある方は事前に紹介状を書いていただくとスムーズです。

まず内視鏡検査や音声機能検査を受け、治験の条件に合えば詳しい説明を受け、納得した場合は治験参加同意書にサインをします。(この日は注射は打ちません)

2~3週後に再診し、1回目の注射を行います。
【重要なポイント】
内転型の場合、ボトックス(片側2.5単位)とプラセボというボトックスではない薬のいずれかを注射します。どちらになるかは50%ずつの確率で患者にも医師にも注射をする時点ではわからないようになっています。
外転型の場合は1回目から必ずボトックス(片側5.0単位)を注射します。

1回目注射の2週間後に再診し、その後はほぼ1カ月に1回受診します。
1回目の注射から12〜32週間後に、希望者には2回目、3回目の注射を行います。この場合は必ずボトックスを注射します。注射の量や、片側か両側かは調整可能です。

 

■費用について

初診料、再診料、各種検査料などは患者負担(保険診療)となります。
ボトックスの薬代、および注射にかかる費用は無料です。
なお通院の手間や費用がかかるため、治験に参加していただいた方には1回の通院につき病院規定の負担軽減費が支払われます。

 

■兵頭医師より皆様へ
〜治験実現のためご尽力くださった、高知大学教授の兵頭政光先生よりメッセージ〜

私は耳鼻咽喉科医ですが、喉を専門としていて、痙攣性発声障害についても十数年前より診療を行っています。現在は痙攣性発声障害の患者数や症状などに関する全国調査を行うとともに、A型ボツリヌス毒素ボトックスを声帯に注射することで音声障害を治療するための治験にも取り組んでいます。

ご存知のように痙攣性発声障害は医療関係者の中でも認知度が低く、また、標準的な治療が確立されていないなどの問題があり、私たちもできるだけ早く診断基準や治療法を確立して皆様方のお役に立ちたいと思っています。

今回の治験の目的は、痙攣性発声障害に対するボトックスの有効性と安全性を検討すること、そしてその結果をもとにボトックス治療が保険診療で行えるよう国に対して薬事承認取得を申請することです。

また、痙攣性発声障害へのボトックス治療が公に認められている国は先進国ではオーストラリアのみで、その他南米のいくつかの国があるだけです。アメリカでも保険では認められておらず、ボトックス治療の有効性に関するデータはあまりありません。ですから今回の治験の結果を日本から世界に向けて発信するという意味合いもあります。

今回の治験は、高知大学が中心となって行いますが、治験の為の費用は国の科学研究費をもとにして日本医師会治験促進センターというところから出ます。すなわち、この治験は厚生労働省が認めた治験ということになります。

痙攣性発声障害は私のライフワークの一つともなっています。治験には非常に多くの方々が関わってくださっており、私としてもぜひ成功させたいと思っています。

治験を成功させてボトックスが保険で使えるようにするためには皆様のご理解とご協力が是非とも必要です。どうかよろしくお願い致します。

 

■お問合せ先

高知大学医学部耳鼻咽喉科
TEL:088-880-2393、FAX : 088-880-2395

治験のポスター

 

 

■兵頭 政光(高知大学医学部耳鼻咽喉科 教授)プロフィール

昭和33年12月2日生まれ、愛媛県出身
昭和58年、愛媛大学医学部卒業後、附属病院耳鼻咽喉科勤務
平成7年、スウェーデンのカロリンスカ研究所に留学
愛媛大学助教授を経て平成20年より高知大学医学部耳鼻咽喉科教授

専門は音声障害や嚥下障害及び頭頸部ガンの治療

主な所属学会
日本耳鼻咽喉科学会(代議員)
日本気管食道科学会(理事・評議員)
日本音声言語医学会(理事・評議員)
日本嚥下医学会(副理事長・理事・評議員)
日本喉頭部科学会(理事・評議員)
日本頭頸部外科学会(理事・評議員)
日本口腔・咽頭科学会(評議員)
日本小児耳鼻咽喉科学会(評議員) など